日本人の肖像 二宮金次郎

日本人の肖像 二宮金次郎 (角川叢書)
岩井 茂樹
角川学芸出版
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二宮金次郎銅像が撤去されてるニュースを聞いて読んでみた。

http://mainichi.jp/life/edu/news/20120125k0000e040231000c.html
自分の場合、二宮金次郎銅像があった話しをこのニュースを見るまで知らなかった。
というか、失礼かもしれないが二宮金次郎自体知らなかった・・・。(親は何故か知ってた。)

この本は、
1、金次郎の肖像画がどのように形成されたか
2、一度固定化された図像が、どのような流通経路、ジャンルを介して広まっていくのかを、「負薪読書図」を使用して明示し、図像の広まりが何を意味するかを考察している。
金次郎の肖像画を使って、日本の「国民国家」形成の過程と近代化の特性を明らかにしてる。

幸田露伴という方が「二宮尊徳翁」の口絵として、本を読みながら歩いてる姿「負薪読書図」を作りだした。
金次郎の肖像は朱買臣という中国の前漢時代に実在した人物像を転用したらしい【金次郎は実在してますが肖像は転用したみたい。】

明治以降に肖像画は立身出世の野望を抱くのでなく、自らの職種内での不断の努力をすることこそが尊いことを人々に教え込むイデオロギーとして機能したとのこと。
それが日本人の理想像【自画像】であり、立身出世の可能性が小さくなるほど肖像画も増加したとのこと。

ちなみに、今は小学校に金次郎の肖像はある方が珍しいみたいで、海外とかにチラホラあるらしい。
それだったら、僕が知らなくても不思議ではないかなと少し思ったり、いや歴史として知った方がいいかなと思ったり。

銅像撤去について僕から言えることは何もないですが、こういう歴史があって、人物がいて小学校で銅像になってるよ(なってたよ)っていうのは教える機会があってもいいと思いますけどね。